要点
流動性とは、資産の価格を大きく変動させることなく売買できる度合いを指します。
流動性の高い市場では、活発な買い手と売り手が多く存在し、スプレッドが狭く、注文も迅速に約定します。一方、流動性の低い市場は参加者が少なく、スプレッドが広がりやすいうえ、価格が大きく変動するリスクも高まります。
現金は即座に使用でき、他の資産とも交換できることから、最も流動性の高い資産とされています。一方、不動産や希少なコレクティブルは流動性が低い傾向にあります。
暗号資産の場合、流動性は中央集権型取引所のオーダーブックから生まれることもあれば、分散型取引所を支えるオンチェーンの流動性プールから生まれることもあります。
はじめに
流動性は、取引や投資において最も重要でありながら、見過ごされがちな概念の一つです。簡単に言えば、資産の価格を大きく動かすことなく、どれだけ早く簡単に現金や他の資産に交換できるかを示す指標です。暗号資産や株式、通貨ペアを取引する際、流動性の水準によって支払う価格、注文の約定スピード、そして価格の安定性が変わってきます。
この記事では、流動性とは何か、その仕組み、測定方法、そしてなぜ重要なのかを解説します。
流動性とは
流動性とは、資産を安定した価格で現金や他の資産に交換できる度合いを指します。いつでも取引に応じる買い手と売り手が多く存在する資産は、流動性が高いとされます。逆に、取引相手を見つけにくく、取引によって価格が大きく動いてしまう資産は、流動性が低いとされます。
現金は、他のあらゆる資産の価値を測る基準であり、ほぼ即座に使用できることから、一般的に最も流動性の高い資産とされます。対照的に、不動産や美術品、希少なコレクティブルといった資産は、売却に数週間から数か月かかるうえ、最終的な成約価格が希望価格から大きくかけ離れることもあり、流動性が非常に低いといえます。
流動性の仕組み
ほとんどの取引プラットフォームでは、オーダーブックに並ぶ買い注文と売り注文によって流動性が生まれます。買い手はビッドを、売り手はアスクを提示し、両者の条件が一致した時点で取引が成立します。現在価格の近くに多くの注文が集まっているほど市場の厚みが増し、価格を大きく動かすことなく大口の取引をこなせるようになります。
身近な例で考えると、買い手と売り手が多い活気のある市場では、常に誰かが取引に応じてくれるので、適正な価格で素早く売却できます。一方、参加者が少ない閑散とした市場では、買い手を見つけるのに価格を大幅に下げるか、売却まで長く待つ必要が生じます。金融市場においても、基本的にはこれと同じ力学が働いています。
流動性の測定方法
流動性を単一の数値で表す指標はありませんが、いくつかの指標を組み合わせて確認することで、全体像を把握できます。
取引量
取引量とは、24時間など一定期間内に取引された資産の総量を指します。取引量が多いほど、通常は市場参加が活発で流動性も高いことを示しますが、注目度が急激に高まった局面では一時的に急増することもあります。
ビッド・アスク・スプレッドとスリッページ
ビッド・アスク・スプレッドとスリッページは、互いに密接に関連する2つの指標です。スプレッドとは、買い手が支払ってもよいと考える最も高い価格と、売り手が受け入れられる最も低い価格との差を指し、流動性の高い市場ほど狭くなる傾向があります。一方スリッページとは、想定していた価格と実際に約定した価格との差を指します。参加者の少ない市場で成行注文を出すと想定より不利な価格で約定することがあります。これは流動性の低さを示す典型的なサインといえます。
マーケットデプス
マーケットデプスとは、各価格帯にどれだけの注文が積み上がっているかを示す指標です。厚みのある市場では、大口注文が入っても価格への影響は小さく済みますが、薄い市場では大口注文一つで価格が大きく動くことがあります。
流動性が重要な理由
流動性は、取引のほぼすべての側面に影響します。流動性の高い市場では、ポジションの構築や解消を素早く行え、スプレッドも狭く、スリッページも抑えられる傾向にあります。これにより、全体的な取引コストが下がり、価格の予測もしやすくなります。
流動性の低い市場では、この逆のことが起こります。スプレッドが広がり、スリッページが大きくなるだけでなく、参加者や注文が少ないために一件の大口取引だけで価格が不利な方向へ動きやすく、ボラティリティも高まります。こうした理由から、多くのトレーダーは、特に小型銘柄や大口注文を扱う際に、ポジションを取る前に流動性を確認します。
暗号資産市場における流動性
暗号資産の流動性は、資産が即時決済で売買される現物市場で測定されるのが一般的です。ビットコインやイーサのような大型銘柄はおおむね厚い流動性が確保されている一方、小型のトークンは流動性が薄く、価格変動が大きくなりがちです。
ステーブルコインは、オンチェーン流動性の重要な供給源であり、供給量は2025年に3,000億ドルを突破し、2026年もその水準を維持しています。価格が安定しているという特性から、ベースペアとして使われるほか、複数の取引の場の間で流動性を移動させる手段としても広く活用されています。
DeFiにおける流動性
分散型金融(DeFi)は、流動性を供給する新たな方法をもたらしました。分散型取引所(DEX)の多くは、オーダーブックで個々の買い手と売り手をマッチングする代わりに、流動性プールに依存しています。流動性プールとは、流動性プロバイダーと呼ばれるユーザーが預け入れたトークンのペアを保有するスマートコントラクトです。
プールを相手にする取引の価格は、プール内のトークン比率に応じて数式で価格を調整する仕組みである自動マーケットメイカー(AMM)によって決まります。流動性プロバイダーは取引手数料の一部を得られますが、預けたトークン同士の価格が乖離した際に生じるインパーマネントロスなどのリスクも負います。
よくある質問
流動性の簡単な定義
流動性とは、資産の価格を大きく変えることなく売買できる度合いのことです。取引に応じる人が多ければ流動性が高く、少なければ流動性が低くなり、適正な価格での取引が難しくなります。
高い流動性がトレーダーにとって有利な理由
流動性が高いと、スプレッドが狭く、注文の約定も速く、スリッページも小さくなる傾向があります。これらが組み合わさることで取引コストが下がり、価格も安定しやすくなるため、多くのトレーダーは流動性の高い市場を好みます。
暗号資産の流動性が低くなる要因
買い手や売り手、取引量が少なく、上場している取引所も限られている資産は、流動性が低くなります。新しく登場したトークンや時価総額の非常に小さいトークンはこれにあてはまることが多く、大口注文によって価格が大きく動くことがあります。
分散型取引所における流動性の提供方法
多くの分散型取引所では、流動性はオーダーブックではなく、ユーザーが預け入れたトークンのプールから生まれます。自動マーケットメイカーがこれらのプールとの取引価格を決定し、流動性プロバイダーはリスクを引き受ける対価として、手数料の一部を得られます。
現金が最も流動性の高い資産といえる理由
現金は、ほぼ即座に使用でき、他の資産とも交換できるうえ、他の資産の価値を測る基準にもなっていることから、一般的に最も流動性の高い資産とされています。一方、不動産やコレクティブルといった資産は、売却に時間がかかるため、流動性がはるかに低くなります。
まとめ
流動性は、取引のしやすさ、取引にかかるコスト、そして価格の安定性を左右します。流動性の高い市場ではスプレッドが狭く約定もスムーズになる一方、流動性の低い市場ではスプレッドが広がり、価格が大きく変動しやすくなります。
中央集権型取引所のオーダーブックを通じて流動性に関わる場合でも、オンチェーンの流動性プールを通じて関わる場合でも、その仕組みを理解しておくことは、より的確な判断につながります。