現物グリッド取引とは、取引ボットを活用して現物市場での資産の売買を自動化する定量的取引戦略です。グリッド取引では、設定された価格の間隔で市場に注文を出します。注文が設定された価格より上下に配置された場合、段階的な価格の上昇と下落でグリッド注文が作成されます。このように、取引グリッドが作成されます。
バイナンス現物グリッド取引は、価格が特定の範囲内で変動するボラティリティの高い市場活用する機能です。グリッド取引は、小刻みな価格変動から利益を上げることを目指します。定量的な取引により、取引の機会の最大化を目指す戦略です。
1. 現在の残高
現在の残高とは、確保済の手数料を含む、実行中のグリッド注文のベース資産とクォート資産の合計残高を指します。
クォート資産の合計=未約定買い注文価格の合計×注文あたりの数量(クォート資産で表示)
ベース資産の合計=売り注文価格の総数×注文あたりの数量(ベース資産で表示)
2. 含み損益
含み損益=未約定の買い注文の合計金額×注文あたりの数量+売り注文の総数×注文あたりの数量×最終取引価格+ベース資産における確保済の手数料×最終取引価格+クォート資産における確保済の手数料-合計投資数量
最終価格:
グリッド注文を実行中の場合、最終価格とは現物取引ペアの直近の市場価格を指します。グリッド注文が終了している場合、最終価格はグリッド注文が終了した時点の市場価格を指します。
3. マッチング注文
マッチング注文とは、下限価格で約定した買い注文、および上限価格で約定した売り注文を指します。マッチングした注文の数量により、グリッド利益が計算されます。
この例では、売り注文がなく、2件の未約定買い注文のみがあります。買い注文と売り注文の両方が約定した時点でマッチ注文となります。
4. グリッド利益
グリッド利益は、約定済みの買い注文と売り注文のペアによって生み出される利益の合計を指します。クォート資産にて表示されます。グリッド利益は、各マッチング注文の利益の合計です。
マッチング注文の利益=約定済みの売り注文価格の合計-約定済みの買い注文価格の合計-売り注文の取引手数料-買い注文の取引手数料×最終取引価格
最終価格:
グリッド注文が実行中の場合、最終価格とは現物取引ペアの直近の市場価格を指します。グリッド注文が終了している場合、最終価格はグリッド注文が終了した価格を指します。
備考:BNBで取引手数料を支払う場合、グリッド注文実行時にBNB手数料は市場価格でクォート資産に交換されます。グリッド注文が終了している場合、グリッド注文終了時のBNB価格に基づいて交換されます。
5. 合計利益
総利益=グリッド利益+未実現損益
6. 年間利回り
年率利回り=総利益÷総投資額×365(日)×24(時間)×60(分)÷注文期間(分)
7. 終了時残高
終了時残高とは、グリッド注文が終了した時点で、保留中のグリッド注文に存在するクォート資産とベース資産を指します。現在の残高と同じ計算を使用します。
8. 損益資産
グリッド注文の損益は、全てクォート資産に交換した上でクォート資産の値に基づいて計算されることになります。
例えば、BNB/BTCを取引した場合、損益はBTCで表示されます。
9. グリッドあたりの利益(利益/グリッド)
グリッド当たり利益は、各グリッドの買い注文と売り注文の差益に基づく利益率を%で表したものです。取引モード(一定間隔または等比)ごとに、グリッドの上限、下限、グリッド数、そして0.1%の取引手数料(c)を考慮しグリッド当たり利益を算出します。
一定間隔モードでは、グリッドごとに利益率が異なります。グリッド当たり利益率が最も小さくなるのは最も低い価格帯でのグリッドとなり、グリッド当たり利益率が最大になるのは最も高い価格でのグリッドで発生します。
グリッド全体の価格差(d)=(グリッド上限-グリッド下限)÷グリッド数
グリッド当たりの最大利益=(1-c)×d÷下限グリッド-2c
グリッド当たりの最小利益=(上限グリッド×[1-c])÷(下限グリッド-d)-1-c
等比グリッドでは、各グリッド価格の収益率は同じであるため、グリッド当たり利益は固定値となります。
収益率(r)=(グリッド上限-グリッド下限)^(1÷グリッド数)
利益÷グリッド=(1-c)×r-1-c

例えば、グリッド上限値は450、下限値は400、グリッド数は5、取引手数料(c)は0.1%とします。
グリッドが一定間隔の場合、価格差(d)=(450-400)÷5=10となります。
グリッド当たり最大利益=(1-0.1%)×10÷400-2×0.1%=2.29%
グリッド当たり最小利益=(450×[1-0.1%])÷(450-10)-1-0.1%=2.07%
等比グリッドの場合、グリッド当たり利益=(1-0.1%)×(450 / 400)^(1÷5)-1-0.1%=2.18%となります。
10. 注文当たりの数量
注文当たりの数量とは、グリッド取引において異なる価格で行われる各注文の約定数量を指します。注文当たりの数量は、グリッド注文が正常に作成された後に確定します。入力された投資資産額に応じ、取引手数料として確保されるベース資産、および買い注文を出すために必要なクォート資産は自動的に計算されます。
必要な資産を全て計算した後、各グリッド注文で約定する最大の数量が注文当たりの数量となります。