マルチシグネチャ

上級者

マルチシグという用語は、マルチシグネチャ(複数署名)がもとになっており、複数の固有の署名の組み合わせによって作成されるデジタル署名の一種を意味します。マルチシグ技術により、2名以上のユーザーがデジタル文書や暗号資産のトランザクションに共同で署名できるようになります。

暗号資産の分野で普及しているマルチシグの原理は、ビットコインの誕生よりはるか以前から知られていました。ビットコインでマルチシグアドレスが初めて実装されたのは2012年で、複数署名を簡単に管理できるマルチシグウォレットが登場したのはその1年後でした。


どのように機能しますか?

簡単に言うと、マルチシグアドレスに保管された資金は、2つ以上の署名が同時に揃った場合にのみ利用できるようになります。

2つの鍵がついた安全な貸金庫を想像してみるとわかりやすいでしょう。それぞれの鍵は、別の人物が保有します。この貸金庫は、唯一2人が同時に解錠することでのみ開けられます。つまり、どちらか一方だけの承認では開けることができません。

つまり、マルチシグウォレットには、付加的なセキュリティレイヤーが備わっています。この技術を活用すれば、単一の秘密鍵に依存するウォレット(シングルキーウォレット)で頻繁に発生する問題を防ぐことができます。一般的な暗号資産ウォレットは単一の秘密鍵で資金を管理しているため、これが単一障害点となっています。サイバー犯罪者はここに目を付け、新しいフィッシング手法を次々と開発してユーザーの資金を狙っています。

マルチシグアドレスは、資金の移動に複数の署名が必要なため、共有ウォレットでの資金管理を希望する企業や組織に特に適しています。これにより、資金の安全を一人の手に委ねるリスクや、単一の秘密鍵を複数人で共有するリスクを軽減できます。