要点
Lineaとは、ゼロ知識ロールアップの採用により高速かつ低コストのトランザクションを提供するイーサリアムレイヤー2スケーリングソリューションです。
同ネットワークはイーサリアム仮想マシン(EVM)との完全な互換性を持つため、Linea上でイーサリアムベースのアプリケーションまたはスマートコントラクトをシームレスに実行できます。
Lineaのアーキテクチャは、シーケンサー、プルーバー(証明者)、ブリッジリレイヤーを特徴としています。これらが連携することにより、トランザクションを高速かつ安全に処理できます。
開発者は同ネットワーク上で、イーサリアム上のものと同一のツールおよびインフラを使用できます。また、同ネットワークにはMetaMaskとInfuraがネイティブに組み込まれているため、オンボーディングとスケーラビリティの拡大に役立ちます。
Lineaの概要
Lineaとは、ゼロ知識ロールアップの採用により高速かつ低コストのトランザクションを提供するイーサリアムレイヤー2スケーリングソリューションです。Lineaでは、すべてのトランザクションをイーサリアム上で直接処理せず、オフチェーンでデータを処理後、同ネットワークに有効性検証に関する証明を送信します。これにより、高いセキュリティが確保されながら、イーサリアムの混雑を軽減できます。
LineaはEVMとの互換性を持つため、開発者は最小限の労力で既存のイーサリアムスマートコントラクトをLineaに再デプロイできます。変更および調整が引き続き必要なEVM互換の他ネットワークと葉一線を画す特徴となっています。
Lineaは、Consensysにより開発されました。同社はまた、MetaMask(人気の高い暗号資産ウォレット)およびInfura(ブロックチェーン・インフラ・プロバイダー)の運営も手がけています。MetaMaskを利用する場合、LineaはInfuraのRPCエンドポイント経由でMetaMaskにデフォルトで対応しているため、ユーザーはMetaMaskから同ネットワークに直接接続できます。
Lineaの仕組み
ZKロールアップ
Lineaでは、ZKロールアップを採用し、オフチェーンでトランザクションを一括処理した後、これらのトランザクションの要約をイーサリアムに送信しています。各要約には、ゼロ知識証明(ZKP)が付随します。これは、トランザクションの詳細を開示せずにすべてのトランザクションの有効性を確認できる暗号化証明です。
Lineaでは、Zk-Snarks(zero-knowledge Succinct Non-interactive Argument of Knowledge)と呼ばれる特殊な証明に依存しています。Zk-Snarksを使用すると、一方当事者が基盤となる情報を開示せずに、その主張が真実であると証明できます。この証明は簡潔なものであるため、大規模な計算の場合も有効性検証データが小さく効率的に保たれます。また、非対話型(non-interactive)でもあるため、証明者から検証者にデータを一度渡した後は追加のやり取りが発生しません。
Zk-Snarksの簡潔性により有効性検証を迅速に行えるため、Lineaではイーサリアムのセキュリティを継承する傍ら、より低コストで多くのトランザクションを処理できます。この仕組みは、不正証明を採用し、資産の引き出しに通常7日間を要するオプティミスティック・ロールアップとは異なっています。ZKロールアップでは、暗号化証明を直接イーサリアムに送信することによりその有効性が確立されるため、追加コストを負担せずに迅速に資金を引き出せます。
Lineaのアーキテクチャ
シーケンサー
トランザクションがLineaに送信されると、シーケンサーによりトランザクションを処理する順番が決定されます。これに基づき、mempool(メモリプール)からトランザクションを収集した後、これらをブロックにまとめて実行し、結果を実行トレース(execution traces)と呼ばれる要約として出力します。実行トレースはプルーバーに渡され、プルーバーにより計算の正確性が検証されます。
すべてのトランザクションデータは最終的にイーサリアム上に投稿する必要があるものの、同ネットワークのストレージコストは高額であるため、シーケンサーはデータを圧縮および最適化してストレージコストを削減します。シーケンサーがブロックサイズを小さい状態にすることにより、データの有効性が保たれる傍ら、Lineaの効率性とコスト効率の高さが維持されます。
プルーバー
プルーバー(証明者)はシーケンサーにより生成された実行トレースを取得し、Zk-Snarks証明を生成します。この暗号化証明により、各トランザクションの再実行または開示を行わずとも、ブロック全体のトランザクションが正確に処理されたことが検証されます。イーサリアムのバリデーターは、各トランザクションを処理する代わりに証明を確認するだけで済むため、検証が素早く完了するとともに、リソースの負担も軽減されます。
ブリッジリレイヤー
ブリッジリレイヤーにより、Linea、イーサリアム、その他のブロックチェーン間のコミュニケーションが管理されます。ブリッジリレイヤーは、Lineaの正規メッセージサービスと連携して機能します。同サービスは、ネットワーク上の資産およびデータの両方の送信を実行するスマートコントラクトおよび補助プロトコルから構成されています。
同リレイヤーでは、ステートに関する主要なアップデート(マークルツリーに関する変更や有効性検証証明など)を伝達する傍ら、イーサリアムとLinea間のトークンの移動を安全に実行します。Lineaのロードマップには、このコンポーネントを経時的に分散化し、中央集権型の運用者への依存を減らすとともに、ネットワークのセキュリティ目標の達成に向かって取り組むといった内容が記載されています。
Lineaでのトランザクションの仕組み
送信:トランザクションは、ウォレット内で署名されLineaに送信されます。Lineaではこれをmempool(保留中のトランザクションの一時保管場所)に入力します。
ブロックの構築:シーケンサーはトランザクションの有効性を検証します。トランザクションが有効とみなされた場合、シーケンサーにより(多くの場合手数料に基づき)処理の順番が決定されます。その後、トランザクションがブロックごとにまとめられ、実行されます。トランザクションがブロックに含まれると、トランザクションレシートが発行されます。
ステートの更新:トランザクションによりLineaのステートが更新され、実行トレースに保存されます。この段階では、同ステートはソフトファイナリティの状態にあります。つまり、Linea上では承認済みであるもののイーサリアム上ではまだ確定されていない状態となっています。
コンフレーション(合成):複数のブロックをひとつのバッチにまとめて一括で証明することにより、多数のトランザクションを1つの証明で賄えるため、コスト削減につながります。
証明の生成:ゼロ知識証明(ZKP)がバッチ(処理単位)に対して一括で生成されるため、イーサリアム上での再実行を行わずとも、すべてのトランザクションが正確に実行されたことを確認できます。
最終処理:証明およびバッチがイーサリアムネットワークに送信されます。検証されると、トランザクションがハードファイナリティに到達し、ブロックチェーン上に永久に記録されます。
Lineaトークン
LINEAトークンは、Lineaネットワークのネイティブトークンであり、Lineaおよびイーサリアムの両方に対応するように設計されています。他のレイヤー2ブロックチェーンとは異なり、Linea上で発生するガス代はETHで支払われます。同トークンはガバナンスとは結び付いていないほか、関係者、投資家、チームに対する特別な割り当ても設定されていません。一方、LINEAはユーザーと開発者に対し報酬として直接付与されるため、オープンかつコミュニティ主導の方法によるエコシステムの成長につながります。
Lineaではまた、デュアルバーンの仕組みを採用しています。ガス代がETHで支払われるため、同ネットワークの純利益の一部は、各トークン供給量を削減するために用いられます。ETHによる純利益の20%はETHのバーンに使用され、残りの80%はLINEAのバーンに使用されます。こうした仕組みにより、Linea上でのアクティビティと両トークンの希少性との間に直接的な結び付きが生まれます。
Linea(LINEA)のバイナンスHODLerエアドロップ
2025年9月8日、バイナンスはバイナンスHODLerエアドロッププログラムの37番目のプロジェクトとしてLINEAを発表しました。8月25日~28日の対象期間中にSimple Earn商品またはオンチェーン・イールド商品にBNBを預けたユーザーが、LINEAエアドロップ配布対象となりました。このプログラムには合計7億2,009万9,900 LINEAトークンが割り当てられ、トークン供給全体の1%を占めることとなりました。
LINEAは、シードタグ付きで上場しており、USDT、USDC、BNB、FDUSD、TRYとのペアで取引できます。
まとめ
Lineaは、イーサリアムのセキュリティと設計原則に準拠する傍ら、同ブロックチェーンのスケール化を目指して開発されたレイヤー2ネットワークです。同ネットワークでは、ZKロールアップの採用により効率性を高めるほか、イーサリアム仮想マシン(EVM)との完全な互換性の提供により、開発者はアプリケーションをシームレスにデプロイできます。ユーザーのメリットとしては、高速かつ廉価なトランザクションの実行が挙げられます。ガス代としてETHを使用することとデュアルバーンの仕組みにより、Linea上でのアクティビティがイーサリアムエコシステムを支え続けることになります。
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