要点
Data Network(旧Story)は、プログラムによる知的財産や検証済みデータの取引を実現する、ブロックチェーンネットワークです。スマートコントラクトがライセンス供与の処理とロイヤルティの決済を自動化します。
マルチコア構造の一部を構成する知的財産(IP)特化の実行レイヤーは、クリエイティブ資産や知識資産の登録、所有権管理、経済的な関係性の管理を担います。ネイティブトークンのDATA(旧IP)は、ネットワークのトランザクション手数料の支払い、ステーキング、AI関連の取引に利用されます。
2026年7月、プロジェクトはStory ProtocolからDATA財団へとリブランドし、AI学習向けの検証済みデータに焦点を移しました。
はじめに
Data Networkは、もともとStoryという名称で知的財産(IP)権の管理を簡素化する、オープンなブロックチェーン基盤のIPインフラを目指すプロジェクトでした。しかし、音楽やゲームなど価値の高いIPを持つ多くの大手ブランドは自社の権利を厳格に管理し、オープンなライセンス供与という考えは広く受け入れられませんでした。この状況を受け、AIモデルの学習に使える権利処理済みデータセットへの需要拡大を踏まえて、StoryはAI学習用データへと焦点を移し、2026年7月にData Networkへリブランドしました。
Data Networkとは
Data Networkは、知的財産や検証済みデータを扱うブロックチェーンネットワークです。創作物、科学データ、機械学習モデルなどの知識資産を、ネイティブなデジタル資産として、汎用かつオープンな台帳に登録できます。
所有権やライセンス契約の追跡を中央機関に委ねるのではなく、Data Networkではクリエイターや組織が自らのIPの利用、共有、収益化に関するルールをプログラムで設定できます。第三者は、この自動化された条件のもとで、時間のかかる交渉を経ずに資産にアクセスできます。
Data Networkの仕組み
マルチコア構造
Data Networkはマルチコアの実行環境を採用しています。メインコアはイーサリアム仮想マシン(EVM)と互換性があり、開発者は使い慣れた方法で分散型アプリケーションを構築できます。これとは別に、知的財産(IP)コアがIP資産のオンチェーン登録、ライセンス供与、所有権関係を管理します。
IPコアは、あるIP資産が別の資産からどのように派生し、どのように関連しているかを、複雑な資産グラフとして追跡します。この仕組みによって、複数のクリエイターや貢献者に対するロイヤルティを、透明性を保ちながら自動で計算・分配できます。
Proof of Creativityプロトコル
Proof of Creativity(PoC)プロトコルは、IPコア上に構築されています。オープンなリポジトリとして機能し、各IP資産の作成から改変、拡張、商用利用に至るまでの全履歴を記録します。
PoCでは、IP保有者が利用条件をコードとして定義できるプログラマブルなライセンスモジュールが導入されています。たとえば、クリエイターは非商用プロジェクトでの無償利用を認める一方、商用利用にはロイヤリティを課すといった条件を設定できます。収益分配のルールは、仲介者を介さずスマートコントラクトによって自動的に実行されます。
DATAトークン
ネイティブトークンのDATA(旧IP)は、Data Network上での決済手段です。トランザクション手数料の支払いのほか、ステーキングを行うバリデーターへのインセンティブ、IP利用に伴うロイヤルティやライセンス料の支払いなど、さまざまな経済活動に使用されます。
DATAトークンは、ネットワーク上のAI関連の取引にも対応しています。自律型AIエージェントは、ユーザーに代わってライセンス交渉を行い、データセットやモデルへのアクセス料金を支払うためにDATAトークンを利用できます。
クロスチェーン・オフチェーン連携
Data Networkはクロスチェーン通信に対応し、所有者が管理権を失うことなく、IP資産を異なるブロックチェーンや分散型金融(DeFi)プラットフォームで利用できます。また、オラクルやオフチェーンサービスとも連携し、IPの真正性の検証、所有権主張の確認、法的紛争解決のサポートも行います。
リブランド:StoryからData Networkへ
2026年7月、Story ProtocolはDATA財団へ、Story NetworkはData Networkへとリブランドしました。従来のIPトークンは、1対1のマイグレーションによりDATAトークンに置き換わりました。これは戦略的な転換によるものです。Story Protocolはもともとエンターテインメントやゲーム分野の知的財産のプログラム化を目指していましたが、DATA財団はAI学習向けの検証済みデータに焦点を移しました。
DATA財団は、価値の高い音楽、ゲーム、ブランドを手がける企業がオープンなライセンス供与に抵抗していたため、当初のIP特化モデルの普及が制限されたと説明しました。一方で、AI学習データへの需要はそれよりも強いことが明らかになったといいます。
リブランドと同時に、「最大級のオプトイン型ヒューマンデータ・マーケットプレイス」と称されるKledとの提携も発表されました。この提携により、Kledがすでに保有する15億件以上の画像や動画、ファイルがData Networkに統合されます。Kledの創業者であるAvi Patel(アビ・パテル)氏は、DATA財団の最高データ責任者に就任しました。
リブランド前の記事をお探しの方は、旧来のプロジェクト構造とトークンについて解説したStory(IP)とはをご覧ください。
ユースケースと応用例
Data Networkは、IPおよびAI関連のさまざまなユースケースに対応するよう設計されています。
ユニバーサルIPマーケットプレイス: Data Networkでは、ライセンス供与、収益分配、部分所有権を含む、プログラマブルなIP取引を当事者間で直接行うことができます。AI生成コンテンツが急速に普及するなか、創作物や音楽、文学、アートといった分野で、誰の作品がどのように使われ、どう収益化されるかを管理する仕組みへの需要が高まっています。
AIモデル・データセット市場: 事業者は、AI学習用データセットや基盤モデル、ファインチューニング・パッケージという資産をData Network上に登録し、ライセンス供与できます。開発者は、これらの資産を利用する際にロイヤルティを自動的に支払えます。ブロックチェーンとAIの関係についてはブロックチェーンとAIの関係で詳しく解説しています。
エージェント型コマース:自律型のAIエージェントは、ユーザーに代わって信頼不要な形でIP資産の交渉、ライセンス取得、支払いを行えます。これにより、AIシステム同士が大規模にやり取りする際も、人手による契約交渉が不要になります。
法務・コンプライアンス: プログラマブルなライセンスとオフチェーン証明により、Data Networkは法的強制力のある契約や紛争解決を支援できます。また、そのガバナンスレイヤーは、プロトコルに関する意思決定において分散型自律組織(DAO)のような役割を果たす場合もあります。
よくある質問
Data Networkが解決する知的財産の課題
従来のIPシステムは中央集権的な登録機関や法的手続きに依存しており、時間とコストがかかる場合があります。Data Networkは、IP管理をオンチェーンへと移行させることで、クリエイターが資産を登録し、ライセンス条件をコードとして設定し、ロイヤルティを自動的に受け取れるようにします。これにより仲介者への依存が減り、IP市場を利用しやすくなります。
DATAトークンの用途
DATAトークンはData Networkのネイティブトークンです。トランザクション手数料の支払い、ネットワークバリデーターを支援するためのステーキング、ライセンス料やロイヤルティの支払いなどの経済取引の円滑化に使用されます。また、ネットワーク内でAIエージェントがユーザーに代わって取引を行うことも可能にします。DATAは、従来のIPトークンから1対1で移行されたトークンです。
Proof of Creativityプロトコルとは
Proof of Creativity(PoC)は、Data NetworkのオープンなIPリポジトリです。IP資産の起源、派生作品、商用利用など、その全履歴を記録します。また、プログラマブルなライセンスを適用することで、人手を介さずロイヤルティを自動的に分配できます。
Data NetworkによるAI・機械学習の支援
Data Networkでは、AI学習用データセットやモデルをライセンス供与可能なIP資産として登録できます。開発者が登録済みのデータセットを使ってモデルを学習させると、ライセンスに組み込まれたロイヤルティルールにより、元データの作成者への支払いが自動的に行われる場合があります。AIエージェントもDATAトークンを使って自律的にライセンスの交渉や支払いを行えます。
リブランド後のIPトークンの扱い
2026年7月にStory ProtocolがDATA財団へリブランドした際、IPトークンは1対1のマイグレーションによりDATAに置き換わりました。各種の連携やバリデーターの稼働は、中断することなく続いています。
Data Networkと他のブロックチェーンとの互換性
Data Networkはクロスチェーン通信に対応しており、ここに登録されたIP資産は、他のブロックチェーンネットワークやDeFiプラットフォームでも利用できます。この相互運用性は、Data Networkを独自のエコシステム外でも有用にすることを目的として設計されています。
まとめ
Data Networkは、エンターテインメント向けのIP管理からAI学習向けの検証済みデータへと焦点を移しました。これは、従来のモデルでは取り込みきれなかった需要の高まりに応えようとする動きです。この転換が成功するかどうかは、開発者の採用状況、Kledのようなデータパートナーシップの質、そしてAIとブロックチェーンの融合が今後どう進むかにかかっています。
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