ラップドトークンとは

ラップドトークンとは

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公開済 Jan 20, 2021更新済 Oct 27, 2025
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要点

  • ラップドトークンは、他の資産、主に別のブロックチェーンネットワークに属する資産を表すデジタルトークンです。

  • 準備資産として保持される元の資産と1対1の価値を維持しています。

  • ラップドトークンにより、あるブロックチェーンの資産を別のチェーン上で効果的に利用でき、相互運用性の向上と資産の流動性の増加につながります。

  • ラップドトークンは、異なるブロックチェーンネットワーク間で分散型金融(DeFi)サービスを活用する新たな機会を提供するものです。

はじめに

BTCがイーサリアム上で利用できず、ETHがBNB Chain上で利用できないことに、もどかしさを感じたことはありませんか?あるブロックチェーン上に存在するトークンは、単純に別のネットワークへと移動はできません。この制約を克服したものがラップドトークンであり、異なるブロックチェーン上で非ネイティブ資産を効果的に利用できるようになります。

ラップドトークンとは

ラップドトークンとは、別の暗号資産をトークン化したものです。その価値は元の資産で裏付けられており、いつでも元の資産に交換(アンラップ)できます。ラップドトークンは、あるブロックチェーン上でもともとは存在しない資産を表すものとして存在します。

例えば、ラップドビットコイン(WBTC)はイーサリアム上に存在するビットコインに相当します。準備金として保有されているBTCと1対1の価値を維持しているため、ビットコインの価値をイーサリアム(または他のチェーン)上で利用できるようになります。

なお、ラップとアンラップの処理は、ユーザー側で心配する必要はありません。バイナンス現物市場のWBTC/BTCペアのように、他の暗号資産と同様にラップドトークンを取引できます。

ラップドトークンの仕組み

イーサリアム上のラップドビットコイン(WBTC)を例に説明します。WBTCは、ビットコインと1対1でペッグされており、その価値が維持されるよう設計されたERC-20トークンで、実質的にBTCをイーサリアムネットワーク上で利用できるようにしたものです。

ラップドトークンは通常、ラップされた量と同等の資産を保有するカストディアンが管理しています。このカストディアンは、販売店、マルチシグウォレット、分散型自律組織(DAO)、またはスマートコントラクトなどが担います。WBTCの場合、カストディアンは1 WBTCを発行(ミント)するごとに、必ず1 BTCを保有する必要があります。この準備金の証明は、ブロックチェーン上で確認できます。

では、ラップの処理の仕組みはどのようになっているのでしょうか。まず、販売店がカストディアンにBTCを送ります。カストディアンは受け取ったBTCの量に応じて、イーサリアム上でWBTCをミント(発行)します。逆に、WBTCをBTCに戻す際は、販売店がカストディアンにバーン(焼却)を依頼し、準備金から相当分のBTCがリリースされます。このように、カストディアンはラップとアンラップの処理を担う存在と考えることができます。なお、カストディアンや販売店の追加・削除は通常、DAOによって管理されています。

ラップドトークンが利用される主なブロックチェーン

主要なブロックチェーンは、それぞれ異なる種類のラップドトークンに対応しています。当初はイーサリアムがラップドトークンの代表的なプラットフォーム(ERC-20規格を使用)であった一方、この技術はBNB ChainソラナAvalancheなど、他のブロックチェーンにも広がっています。

イーサリアム上で特に代表的なラップドトークンの例がWETH(Wrapped Ether)です。ETH自体はERC-20トークンではないため、WETHはETHをERC-20規格に準拠させるためにラップし、ERC-20を基盤とするアプリケーションとスムーズに連携できるようにしています。

ラップドトークンのメリット

ラップドトークンには、以下のさまざまなメリットがあります。

  • 流動性の向上:異なるブロックチェーンの資産をさまざまなプラットフォームで利用できるため、資本効率が向上します。

  • 相互運用性の向上:異なるブロックチェーンネットワーク同士を接続し、クロスチェーンでのやり取りと統合を実現します。

  • DeFi参加の拡大:トークンの元のブロックチェーンを超えて、貸し借り、イールドファーミング、ステーキング、投票などができるようになります。

  • コスト削減とトランザクションの高速化:ラップドトークンは、元のチェーンよりも安価かつ速やかなトランザクションを提供できる場合があります。

課題とリスク

リスクと制約には、以下のものが挙げられます。

  • カストディアンへの信頼:多くのラップドトークンは元の資産を保有する第三者への信頼に依存し、リスクや中央集権的な制御点が生じる可能性があります。

  • スマートコントラクトのリスク:ラップやアンラップを管理するコードに脆弱性が存在する可能性があります。

  • 複雑さ:ラップドトークンの利用時に、異なるブロックチェーンに関してある程度の技術的知識を必要とする場合があります。

  • 規制:ラップドトークンに関する法規制は世界的に異なり、まだ発展途上であります。

  • 手数料とスリッページ:高いトランザクション手数料が伴ったりスワップ時の価格スリッページが発生することで、メリットが相殺される可能性があります。

ラップドトークンの主なユースケース

ラップドトークンの一般的なユースケースを以下に挙げます。

  • クロスチェーントレーディングと送信:異なるブロックチェーンネットワーク間での資産スワップや価値を移転できます。

  • 流動性提供:異なるブロックチェーン上の流動性プールにラップド資産を提供できます。

  • DeFi担保:ラップドトークンを担保として非ネイティブブロックチェーン上でローンやイールドファーミングに利用できます。

  • NFT相互運用性NFTもラップされ複数のプラットフォームで利用できます。

まとめ

ラップドトークンは、異なるブロックチェーンネットワーク間での流動性とDeFiの利便性を向上させます。これにより、資本の効率性が向上し、さまざまなアプリケーションで簡単に流動性を共有できるようになり、活用範囲が広がります。

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