バイナンス現物DCAパラメーター

2023-05-24 11:09に発行済

 現物DCAとは?

ドルコスト平均法(DCA)とは、異なる価格で定期的に一定額の資産を売買する投資戦略です。取引ペアでの購入価格の平均化により、市場のボラティリティの影響の軽減を目的としています。

バイナンスの現物DCA機能では、指定された価格偏差と希望する頻度に基づき、一定額の資産を自動的に売買することができます。

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*リスクに関する警告:上記のパラメーター設定と計算はあくまでも参考です。価格差の有効性、つまり現物DCA注文のトリガー(発動)価格は、選択された取引ペアによって異なります。こちらに記載する情報は、バイナンスによる金融または投資アドバイスではありません。全ての取引戦略は、お客様のご自身の判断とリスクでご利用ください。暗号資産取引は大きなリスクを伴い、利益と損失の両方が大幅に膨れ上がる可能性があります。バイナンスは、お客様が現物DCAを利用することで発生したいかなる損失に対しても責任を負いません。制御不能な市場の動きによって取り返しのつかない損失が発生しないよう、あらかじめストップトリガー注文を設定することを強くお勧めします。

現物グリッドと現物DCAの相違点

 現物グリッド現物DCA
狙いボラティリティの高い市場における小さな価格変動で利益を獲得購入価格を平均化し、ボラティリティの影響を軽減
戦略定量的取引:設定された価格範囲内で事前に設定された間隔で資産を売買する戦略

ドルコスト平均法(DCA)

:異なる価格で定期的に一定額の資産を購入する戦略

取引 / 注文の仕組み各入口(発注)はそれぞれ対応する出口(決済)が設定されます。複数の入口、出口は1つ
取引ボットの発動頻度

設定価格範囲の上限と下限の間隔に設定したグリッド数により異なる。

一定間隔モードでは、各グリッドの価格差は等しくなる。等比モードでは、各グリッドの価格差の比率が等しくなる。

価格偏差(%)によって実行されるDCA注文数によって異なる。

現物DCAパラメーター

1. 価格偏差
価格偏差とは、DCA注文をトリガーする価格差の割合を指します。価格差は0.1%~15%の範囲で設定できます。例えば、5%に設定した場合、選択した取引ペアのベース注文から5%変動するごとにボットが売買注文を発注します。

2. テイクプロフィット
テイクプロフィット (TP) とは、平均価格(取引ボットの終了前)を基準とした目標利益率を指します。

  • [固定]モードが初期設定となります。ポジションが目標利益率に達すると、TP注文はポジションを閉じ、ボットは現在のラウンドを終了します。例えば、テイクプロフィットを5%に設定した場合、利益が5%に達するとボットは自動的にラウンドを終了します。
  • [トレーリング]モードを選択すると、価格が想定した方向とモードに動く限り、取引ボットは動作し、利益をロックすることができます。価格が想定した方向と反対に動き、特定の割合に達すると、売り注文がトリガーされ、そのラウンドは終了します。備考:[トレーリング]は、特定の取引ペアで利用できない場合があります。

3. 投資額の算定

ベース注文金額 + DCA注文金額 ×(1 + DCA注文サイズ倍率 ^ 1 ... DCA注文金額倍率 ^ [最大DCA注文金額 - 1])
備考:必要な金額はお客様の現物ウォレットから取引ボットウォレットに送金され、こちらの取引ボット専用の費用として使用されます。

3.1 ベース注文

トリガー価格が設定されていない場合、ベース注文は現物DCAが開始されると即座に約定します。ベース注文の投資額は調整可能です。例えば、投資金額として100,000 JPYを入力された場合、ベース注文は最大100,000 JPY(取引手数料含む)になります。

3.2 DCA注文

DCA注文とは、価格が指定された価格偏差に達した際に執行される追加注文を指します。DCA注文の投資額は調整できます。例えば、投資金額として100,000 JPYを入力すれば、それ以降のDCA注文は、取引手数料を含めて最大100,000 JPYとなります。

4. 最大DCA注文回数

ラウンドごとの最大DCA注文回数を指します。
拡張設定パラメーター

  • トリガー価格:取引ボットの最初の発注をトリガーするトークン価格です。空欄の場合、最終取引価格がトリガー価格として使用されます。
  • 価格偏差倍率:2回目に発注されるDCA注文と最初の注文の価格差の倍率(%)を掛け合わせて注文価格が決まります。初期設定では、こちらのパラメーターは1に設定され、追加の注文ごとに等しい価格偏差(%)が適用されます。ご自身で設定した場合、追加の注文には設定値の倍率が適用されます。例えば、BTC/JPYペアの30,000円で買いポジションを建て、価格偏差を1%、価格偏差倍率を2に設定した場合、以下のようになります。
    • ベース注文 = 30,000円
    • DCA #1 = ベース注文 - 1% = 29,700円
    • DCA #2 = DCA #1 - 1%×2=29,100円(ベース注文 - 3%)
    • DCA #3 = DCA #2 - 1% × 2 × 2 = 27,900円(ベース注文 - 7%)
  • DCA注文サイズ倍率:後続のDCA注文の投資額を倍増させます。初期設定では、こちらのパラメーターは1となっており、追加される各注文は最初のDCA注文金額と等しくなります。倍率を変更した場合、2回目のDCA注文以降から有効となります(初回のDCA注文では、ボットの開始後も既定値が維持されます)。
    例えば、DCA注文が100,000 JPY、DCA注文サイズ倍率を2に設定した場合、価格が指定した価格偏差に達すると、各追加エントリーは乗算されます。
    • DCA #1=100,000 JPY=100,000 JPY
    • DCA #2=100,000 JPY×2=200,000 JPY
    • DCA #3=100,000 JPY×2×2=400,000 JPY
  • ラウンド間のクールダウン:ラウンド終了後から次のラウンドまでの停止時間です。初期設定では、ラウンド間の停止クールダウン時間は60秒です。
  • 稼働価格範囲の下限と上限:取引ボットは、選択したトークンのベース注文の価格範囲内でのみ実行されます。

備考:連続するラウンドでは、市場のボラティリティにより、ベース注文の約定が価格範囲から逸脱する場合があります。

  • ストップロス:取引ボットを停止する価格差を%で設定できます。
  • ストップロスの発動時にボットを終了:ストップロスに設定した割合に達すると、ボットは自動的に終了し、ラウンドも終了します。

5. 現物DCA利益の種類

総利益(総利益 ÷ 総投資額)

[トークン買い]モード

  • 計算:(現在のベース資産 - 取引開始ベース資産) × 最終価格 +(現在のクォート資産 - 取引開始クォート資産)

[トークン売り]モード

  • 計算:(現在のベース資産 - 取引開始時のベース資産)+(現在のクォート資産 - 取引開始時のクォート資産)÷ 最終価格

総利益率% = 総利益 ÷ 総投資額(小数点2桁)(モード問わず)

DCA利益(DCAラウンド利益の合計)
  • 単位:[トークン買い]モードではクォート資産、[トークン売り]モードではベース資産

DCA利益% = DCA利益÷総投資額(小数点2桁)

含み益 =(総利益 - DCA利益)
  • 単位:[トークン買い]モードではクォート資産、[トークン売り]モードではベース資産

DCA利益% = 未実現利益 ÷ 総投資額(小数点2桁)

ラウンド(回)当たり利益

[トークン買い]モード(単位:クォート資産)

  • 計算:(テイクプロフィット合計 - 手数料)- DCA注文合計 - ベース注文合計

[トークン売り]モード(単位:ベース資産)

  • 計算:(テイクプロフィット合計 - 手数料)- DCA注文合計 - ベース注文合計

現物DCAの例

現物DCAを利用すると、指定した価格偏差および希望する頻度で、一定額の資産を自動的に売買できます。BTC/JPYを例に取り上げます。

購入例

取引ボットのパラメーターが以下のように設定されているとします。

  • 価格偏差:5%
  • テイクプロフィット:10%
  • ベース注文:100,000 JPY
  • DCA注文:100,000 JPY
  • 最大DCA注文回数:2回

上記のパラメーターを使用する場合、300,000 JPY(100,000 + 100,000 × 2 = 300,000 JPY)の投資額が必要となります。

現物DCAは、100,000 JPY相当のBTCを購入して開始します。BTCが3,000,000 JPYであれば、0.0333BTCを受け取ります。その後、BTC価格がベース注文から5%変動したとします。ボットは、設定した最大DCA注文回数(1注文あたり100,000 JPY)に基づき、最大2回までDCA注文でBTCを買い増します。こちらのボットは、目標のテイクプロフィット率(10%)に達するまで実行し続けます。

現在のBTC価格BTC保有数の変化(小数点以下4桁)BTC保有総数(小数点以下4桁)1注文あたりのJPY支出総額(JPY)
3,000,000 JPY+ 0.0333 BTC0.0333 BTC- 100,000 JPY+100,000 JPY
2,850,000JPY+ 0.0351 BTC0.0684 BTC- 100,000 JPY+200,000 JPY
2,700,000JPY+ 0.0370 BTC0.1054 BTC- 100,000 JPY+300,000 JPY
3,129,200JPY- 0.1054 BTC0 BTC+ 330,000 JPY-
ラウンド(回)当たり利益+ 30,000 JPY*
*上記の例には、取引手数料は含まれていません。数値は簡略化されており、四捨五入による誤差が生じる場合があります。
注文種類価格偏差現在のBTC価格BTC保有の平均価格支出総額(JPY)
ベース注文--3,000,000 JPY3,000,000 JPY100,000 JPY
DCAオーダー#1ベース注文から5%下落2,850,000 JPY2,923,000 JPY200,000 JPY
DCAオーダー#2ベース注文から10%(5% + 5%)下落2.700,000 JPY2,844,700 JPY300,000 JPY
テイクプロフィット平均価格から10%上昇3,129,200 JPY----
ラウンド(回)当たり利益+ 30,000 JPY*

* ボットは目標のテイクプロフィット率(10%)に達するまで実行し続けます。こちらの例では、このラウンドが完了するとボットは終了します。

上記の例には、取引手数料は含まれていません。数値は簡略化されており、四捨五入による誤差が生じる場合があります。

売却例

取引ボットのパラメーターが以下のように設定されているとします。

  • 価格偏差:5%
  • テイクプロフィット:10%
  • ベース注文:0.033 BTC
  • DCA注文:0.015 BTC
  • 最大DCA注文回数:2回

上記のパラメーターを使用する場合、0.0999 BTC(0.0333 + 0.0333 × 2 = 0.0999 BTC)の投資資産が必要となります。

現物DCAを開始する際に100,000 JPY相当のBTCを購入するとします。。0.0333 BTCを30,000円で購入します。その後、ベース注文からBTC価格が5%変動します。ボットは、設定された最大DCA注文回数に基づき、最大2回までDCA注文を出し、BTCを追加で購入します。ボットは目標のテイクプロフィット率(10%)に達するまで起動します。

現在のBTC価格JPY保有状況の変化JPY受取総額BTC保有状況の変化(小数点以下4桁)
3,000,000 JPY+ 100,000 JPY 100,000 JPY - 0.0333 BTC
3,150,000 JPY+ 104,895JPY 204,895JPY - 0.0333 BTC
3,300,000 JPY+ 109,890 JPY314,785 JPY - 0.0333 BTC
2,835,000 JPY- 314,785 JPY 0 JPY+ 0.110 BTC
ラウンド(回)当たり利益+ 0.010 BTC*(+10%)
*上記の例には、取引手数料は含まれていません。数値は簡略化されており、四捨五入による誤差が生じる場合があります。
注文種類価格偏差現在のBTC価格BTC保有の平均価格BTC保有状況の変化(小数点以下4桁)
ベース注文--3,000,000 JPY3,000,000 JPY- 0.0333 BTC
DCAオーダー#1ベース注文から5%上昇3,150,000 JPY3,075,000 JPY- 0.0333 BTC
DCAオーダー#2ベース注文から10%(5% + 5%)上昇3,300,000 JPY3,150,000 JPY- 0.0333 BTC
テイクプロフィット平均価格から10%下落2,835,000 JPY--+ 0.110 BTC
ラウンド(回)当たり利益+ 0.010 BTC*

ボットは目標のテイクプロフィット率(10%)に達するまで起動します。こちらの例では、ラウンドが完了次第、ボットは終了します。

*上記の例には、取引手数料は含まれていません。数値は簡略化されており、四捨五入による誤差が生じる場合があります。